自分の尊敬する松本賢一先生の日記より転載させて頂いてます。
御自身も阪神大震災を経験していらっしゃる方で、多岐に渡り、活躍している方です。
以下、松本先生のブログより抜粋。
先日、フジテレビ「とくダネ」の取材で「被災地でのメンタルヘルス」が放映されましたので、
時間の都合でカットされた部分も含めて、取材内容をここに書いておきます。
・決して、相手を励まないでください
「頑張りましょう」「頑張ってください」などの言葉はNGです
・ただただ、話を傾聴する
ただ、話を聞いてもらえるだけで「繋がっている」感覚を持つことができます。
今必要なのは、誰かと繋がっているという精神的な安心感です。
・傾聴するときは、正対するのではなく、横に座って同じ方向を向く
心理学で「同調」と言います。バーカウンターに座るイメージです。
子どもと話をするときに、腰を落として同じ目線で話をしますよね。
それと同じで、相手と同じ目線レベル、あるいは相手を下から見上げる姿勢が重要です。
・「手当て」「スキンシップ」を行いましょう
相手の横に座ったとき、「膝の上に手を置く」「背中を優しくなでる」
などのスキンシップをおこなってください。
いきなりは無理かもしれませんが、相手の話を傾聴していくと、
自然と相手との距離が縮まってきます。
雰囲気を察知して、スキンシップを心がけてください。
人から伝わってくる温かみはなによりも得難い特効薬です。
・利いた風な言葉は発しない
「神様は乗り越えられない試練は与えない」「この災害にも必ず意味はある」・・・
など、偉人が発した言葉、どこかで聞いたことのあるもっともらしい言葉。
それらも言ってはいけません。
相手を深く傷つけるだけでしかないのです。
この言葉のやりとりが被災者同士で行われるのであれば、問題ありません。
しかし、被災していない人が被災された方に対して発する言葉ではありません。
・相手の言葉を待ってあげてください
相手の話を聞いているときに、会話の中で「間(ま)」が空くことがあります。
その「間」に耐えきれずに、ついつい気の利いたことを
言わないといけないんじゃないか、という心境になります。
そんな時ほど、上記にも書いてあるような「利いた風な言葉」を発しがち。
沈黙は相手が自分の心を整理し、それを言葉にしようとしている証拠です。
言葉が出てくるまで、ちゃんと待って上げる。
何かを言うことだけがメンタルヘルスケアではありません。
だからこそ、正対するのではなく、横に座ることで、沈黙を二人の信頼関係に変えていくのです。
・下の名前を呼ぶようにしてください
阪神大震災では、被災したある学校では、授業が再開したあと、
生徒に対してこれまで以上に声掛けを行っています。
そして、その時には名字ではなく、下の名前を覚えて呼ぶようにしてください。
ファーストネームを呼ばれることは、心理的にも近しくなります。
できるなら抱きしめてあげてください。そして、耳元で「生きていてくれてありがとう。よく頑張ったね」と言って上げてください。
・言葉を失ったら、素直に言う
自分の中にある言葉を越えてしまったときには、「なんて言ったらいいか分からない。ごめんなさい。でも、あなたは大切な人。」と素直に伝えてください。相手はその言葉で救われます。
・罪悪感の払拭とサポート
自分の命が助かった事への罪悪感。真面目な人ほど思い込んでしまいます。「亡くなった人の分まで・・・」という言葉がプレッシャーになることも。言葉は選びながら、丁寧に相手にかけてあげてください。
・可能性を考える
人助けには、いますぐできること、そしてこの先にできることの両方があります。自分には何もできないと諦める必要はありません。一ヶ月あれば楽器で一曲マスターできるはず。その音色で人を癒すことができます。
・前向きな言葉、丁寧な言葉を使う
「震災を体験した子どもは、きっと強い人間になる」避難所になった小学校の校長が語った言葉。
・誰かを責めない
役場とのやりとりはボランティアリーダー個人の携帯。通話料は数万円はすべて個人負担。それでも「これで人が助かるなら、仕方がない」
・誰もが一生懸命
「役所のひと達も、一生懸命やっているんや!!」仮設住宅の割り振り説明会で役所の人間に怒号と罵倒の嵐。それを諫めた一言。
・絆を深める
「私にできることは、これくらいしかありませんから」そう言って定期的に避難所を周り、無償でケアを施した鍼灸師。あれから16年。現在、鍼灸院に通う患者の多くは、当時の被災者。
・プロとしての意識
ボランティアで被災地を訪れた名古屋のピエロ。子どもだけでなく大人までもがピエロの訪問を喜んでくれた。「夢を与えるのがピエロ。だから人の前では水すら飲みません。」
・力を合わせる
「次はあんたが引っ越しする番やからな。」仮設住宅が当選した人の引っ越しは、被災者がみんなで手伝う。一人一人と避難所から退去していくことが、喜びに繋がる。
・発言する勇気を持つ
避難所である小学校職員の対応に一部の被災者が怒りをぶちまけた。その時、一人の女性が言った。「学校は子ども達のもの。私たちは貸してもらっているのだから、学校側に協力しましょう」
・自立し、リーダーシップを取る
被災者のリーダーが提案した「避難所である学校のトイレ掃除は自分たちがやる」
・約束をする
避難所である学校側からすればやがては邪魔者でしかなくなっていく被災者。その被災者の不安はいつまで避難所にいれるか。その不安を察して、校長先生が被災者に約束をした。「ここに避難された方は、最後のお一人になるまで、学校にいていただきます」
・くだらない憶測は言わないようにする
「仮設住宅に住んでいる人たちは家賃が要らないため、恵まれている」そんな心ない一言で、仮設住宅に住む子ども達がいじめにあう。
・人生を変えようとして被災地に行かない
被災地へ向かう気持ちは大切ですが、そこから何かを得ようとして行動すると、もっともっと大切なことを見失ってしまいます。
・相手の今日一日を、一生を決めてしまうような人になりなさい
「あの時、あなたの言葉に救われた」「あなたに出会えて良かった」相手の一生を支える言葉や行動。どんな人にもその可能性を秘めています。
・愛のある人になりなさい
「愛は愛以外のものを浮き彫りにする」いまこそ、普段は見失いがちな「愛の仕事」にフォーカスしよう。
・いつも人生に参加していなさい
誰かがやってくれるのを待つのではなく、自分の出番が来たときにすぐに動ける人間になっておく。
・大きな視点で考える
何か一つの考え方に固執するのではなく、状況に応じて何をするかを察知する。「どうあるべきか」という発想をなくして、大きな全体性を見て行動しよう。
アラン・コーエンメンターシッププログラム第一期修了生
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー
松本賢一
東北の震災を受けて、様々な方々が、自分に何が出来るか?とボランティア活動や、日々の節電、いろんな事に関わっております。
被災地の復興を願うと共に、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。